税理士法人 良知 コラム

2018年3月 1日 木曜日

実践コラム(2)『10回払いの融資は本当に使えないのか?』

『10回払いの融資は本当に使えないのか?』・・・資金シュミレーションに基づいて判断しましょう。

金融機関から初めてプロパー融資の提案を受ける時にありがちなのは、返済期間10ヶ月などの超短期の融資です。金融機関の担当者は、「とりあえず実績を作ってもらわないと・・・」というセリフとともに提案を持ってきます。
先日もある社長様から、「1,000万円の10回払いの融資を提案されたが、使いようがないので断った方が良いですよね?」というご相談をお受けしました。そこで、本当に使いようがないのか、シュミレーションしてみました。
同社の取引条件は、即金で仕入れ、在庫として滞留している期間が最長1ヶ月、売上債権を回収するまでの期間が約1ヶ月となっています。粗利益率は約50%のビジネスです。

◆借入月の収支は以下となります。
入:借入金1,000万円
出:仕入500万円
差引:+500万円

◆翌月の収支は以下となります。
入:0万円
出:仕入500万円
出:借入金返済100万円
差引:-600万円

◆3か月から11か月後までの収支は以下となります。
入:売上回収金1,000万円
出:仕入500万円
出:営業経費支払い400万円
出:借入金返済100万円
差引:±0円

◆12ヵ月後からの収支は以下となります。
入:売上回収金1,000万円
出:仕入500万円
出:営業経費支払い400万円
差引:+100万円

1,000万円10回払いの融資を受けて、毎月500万円の仕入れを行い、営業経費を400万円かけて月商1,000万円の売上高を確保することができれば、毎月100万円を返済しながら、1年後には、年商ベースで1億2,000万円の売上増加、1,200万円の営業利益増加を実現できます。(概算のシュミレーションですので金利は考慮していません。)

もちろん思い通りに売上高が上がるとは限りませんので、慎重な判断が求められますが、無下にお断りする話でもなさそうです。直観的に結論を下すより、資金シュミレーションを実際にやってみてから判断した方が、正しい結論が導き出せそうです。


このエントリーをはてなブックマークに追加

投稿者 税理士法人 良知